シラバス詳細

タイトル「2025年度」、カテゴリ「法) 政策科学科」

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科目情報

科目名

地域統合論

講義名

地域統合論

実務経験のある教員による講義
-
学年

2年

キャンパス区分

北方

開講学期

2学期

開講時期

秋期

曜日・時限

水1

科目種別

講義科目

ナンバリング

-

科目区分

-

単位区分

-

単位数

2

準備事項

備考

講義情報

ディプロマポリシー・到達目標

項番

内容

対象

到達目標

DP1

知識

国際政治・地域政治の基礎的知識を身につけている。

DP2

技能

多様な地域現象の情報を外国語で収集・処理できる。

DP3

思考・判断・表現力

国内政治と国際政治の相互関係を複眼的に思考できる。

DP4

コミュニケーション力

-

-

DP5

自律的行動力

-

-

授業の概要

地域統合とは主に地理的に近い国家の間で政治・経済的な協力を深化させることを指し、冷戦が終結した1990年代以降、その動きは世界各地で加速しています。地域統合の代表格として欧州統合が挙げられます。ヨーロッパでは歴史を通して国家間での凄惨な戦争を幾度も経験する中で国家の「主権」を一部委譲した「超国家的統合」によって地域の平和を実現することが目指されてきました。しかし、欧州統合は様々な理念や思惑に、各時代の国際情勢が複雑に絡み合う中で紆余曲折して進展してきたものであり、現在も様々な課題に直面しています。この授業の前半ではまずこの欧州統合がいかにして進展してきたのか、現在どのような役割を果たし、どのような困難に直面しているのかを学びます。冷戦終結後、地域統合は欧州を超えて世界的な潮流として広がっています。しかし、その目的は地域統合ごとに多種多様であり、政治的、経済的な思惑が複雑に交差しています。授業の後半では、欧州統合を超えて、世界的に広がる様々な地域統合を比較する中で、地域統合がなぜ進められ、どのような影響を持ちうるのかを学びます。以上を通して現在、日本も積極的に推進している地域統合の仕組みを理解するための視座を養います。

教科書

この授業では指定の教科書は定めません。参考となる文献については各回の授業で紹介します

参考書(図書館蔵書には〇)

【第1部:欧州統合】
〇遠藤乾編. 2024. 『ヨーロッパ統合史(第2版)』名古屋大学出版会.
遠藤乾. 2013. 『統合の終焉:EUの実像と論理』岩波書店.
遠藤乾. 2016. 『欧州複合危機:苦悶するEU、揺れる世界』中央公論新社.
〇田中素香. 2022. 『現代ヨーロッパ経済(第6版)』有斐閣.
〇田中素香. 2010. 『ユーロ:危機の中の統一通貨』岩波書店.
〇田中素香. 2016. 『ユーロ危機とギリシャ反乱』岩波書店.
〇中井遼. 2021. 『欧州の排外主義とナショナリズム:調査から見る世論の本質』新泉社.

【第2部:地域統合の比較】
梶田朗, 安田啓編. 2014.『FTAガイドブック』JETRO.
〇大矢根聡, 大西裕編. 2016.『FTA・TPPの政治学:貿易自由化と安全保障・社会保障』有斐閣.
〇飯田敬輔. 2007.『国際政治経済』東京大学出版会.
〇山影進編.2011.『新しいASEAN:地域共同体とアジアの中心性を目指して』アジア経済研究所

授業計画・内容

回数

授業計画

内容

第 1回

イントロダクション

初回の授業では現在、世界的な潮流となっている地域統合を概観する中で、地域統合とは何か、なぜ地域統合が世界的に進められるのかを考えます。

第 2回

欧州統合の起源

欧州統合はなぜ始まったのか。この授業では、欧州に起源を持つ現在の「主権国家体系」が生まれた背景を振り返りながら、欧州統合がいかなる目的をもって始まったのかを学びます。
[主権国家体系、国民国家、シューマン・プラン、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)]

第 3回

欧州統合の深化1

ECSCの設立により始まった欧州統合は、その後に政治防衛統合の試みに失敗して以降、経済分野での統合を中心に進展していきます。この授業では経済の観点から、単一市場と共通通貨の実現に至るまでの欧州統合の進展の経緯を学びます。
[EC、関税同盟、単一市場、通貨統合、ユーロ]

第 4回

欧州統合の深化2

1993年のマーストリヒト条約によって欧州統合は現在の欧州連合(EU)の設立に到達しました。その中で欧州の政治防衛統合が再び目指され、EUとしての共通外交・安全保障政策(CFSP)の策定が図られます。この授業ではその創設直後に対応を迫られたユーゴスラヴィア紛争を事例に、政治の観点から欧州統合の深化を考えます。
[EU、共通外交・安全保障政策、欧州憲法条約]

第 5回

 欧州統合の拡大1

欧州統合の進展は、統合の度合いを垂直方向に深める深化と加盟国を新たに受け入れて水平方向に統合を広げる拡大に分けられます。この授業では、EUが新加盟国を受け入れる際の仕組みと新加盟国へと民主主義や人権、市場経済等の欧州の価値を浸透させる方法を学びます。
[東方拡大、コペンハーゲン基準、アキ・コミュノテール]

第 6回

欧州統合の拡大2

現在、欧州統合の拡大は、かつての紛争国である旧ユーゴスラヴィア諸国を対象に準備が進められています。これらの国々はいまだに紛争の火種を抱えており、EU加盟へのプロセスは同時に紛争解決を目指す政治改革として捉えられます。この授業では現在進められる旧ユーゴスラヴィア諸国のEU加盟プロセスを事例にEUが平和構築に果たす役割を考えます。
[EUのコンディショナリティ、ヨーロッパ化、平和構築]

第 7回

欧州統合の歪み1

欧州統合はこれまで様々な困難に直面し、紆余曲折を経ながら現在の形まで進展してきました。そして今まさに欧州統合は深刻な危機に直面しています。この授業では、ギリシャから始まったユーロ危機を題材に、経済の観点から欧州統合が抱える構造的な問題を考えます。
[ユーロ危機、緊縮財政、通貨統合と財政政策の主権]

第 8回

欧州統合の歪み2

2020年にイギリスが離脱したことでEUは設立以来、初めての離脱国を出しました。その後も欧州難民危機やテロ事件を経験する中、いくつかの加盟国で排外主義を唱える極右政党が勢力を伸ばし始め、EUに対しても懐疑的な声が高まっています。この授業では、なぜEU懐疑主義が広がっているのか、政治の観点から欧州統合が抱える構造的な問題を考えます。
[Brexit、欧州難民危機、極右政党、民主主義の赤字]

第 9回

地域統合の理論1

地域統合は現在、世界各地で加速度的に進められていますが、それぞれの地域統合は政治的、経済的に異なる目的を持っており、その果たす役割も多様です。この授業では、欧州統合を超えて、地域統合がなぜ進められるかを理論的に考察します。この授業ではまず経済の観点から、第二次世界大戦後に自由主義的な国際経済秩序の形成が目指された過程を追う中で、現在なぜ地域統合が進められるのかを考えます。
[自由主義、比較優位、自由貿易協定(FTA)、GATT、WTO]

第10回

地域統合の理論2

地域統合は世界的に推進される一方で、例えそれがその国の経済利益につながる場合でも、国内には自由貿易に反対する人々も多くいます。こうした反グローバリズムの動きはなぜ起こるのでしょうか。この授業では政治の観点からなぜ自由貿易への支持・不支持が分かれるのかを考えます。
[保護主義、利益団体、再分配、ソシオトロピックな要因]

第11回

米州

アメリカは1994年に北米自由貿易協定(NAFTA)を発効し、地域の貿易自由化を先導してきました。しかし近年、自由化に反対する世論が高まり、トランプ政権ではNAFTAの見直しが図られました。この授業では、特にアメリカの地域統合への取り組みを中心に、米州における地域統合を概観します。
[NAFTA、ラストベルト、USMCA、メルコスール]

第12回

アフリカ

アフリカの地域統合の特徴として平和構築への積極的な関与が挙げられます。「アフリカの問題のアフリカによる解決」を謳い、アフリカの地域機構は地域の紛争解決に向けて主体的な役割を果たしています。しかし冷戦期、アフリカの地域統合は「内政不干渉」を強く打ち出し、互いの国内問題への関与を極力避けていました。この授業ではアフリカの地域統合が発展してきた経緯と、現在それが果たす役割を学びます。
[OAU、AU、ECOWAS、内政不干渉、PKO]

第13回

東南アジア

東南アジア諸国連合(ASEAN)は1967年に設立された東南アジアの地域機構です。設立当初は政治・経済体制の大きく異なる国々の同床異夢でしたが、2015年にはASEAN共同体を発足しさらなる深化を図っています。そして、このASEANは現在アジア太平洋地域の貿易自由化に向けた動きの「運転席」に座ることを目指しています。この授業ではASEANの発足から現在に至るまでの発展経緯とその役割を学びます。
[ASEAN、ASEAN Way、ASEAN中心性]

第14回

アジア太平洋

世界的な地域統合の潮流は日本が位置するアジア太平洋地域においても例外ではありません。しかし、この地域では多様なアクターが多様な思惑をもって地域統合を推進する中で、様々な地域的枠組みが重層的に形成されています。この授業では、アジア太平洋地域における地域統合の動きを歴史的に振り返る中で現在の日本を取り巻く地域統合の状況を概観します。
[東アジア共同体、RCEP、TPP]

第15回

まとめ

本コースで学んだ内容を振り返りながら、地域統合論がどのような問題に取り組もうとしているのかを考えます。その上で、今後の地域統合論の勉強の進め方について案内します。

成績評価の方法

100% 定期試験

授業内で説明した用語、概念を正しく理解できているか、また、地域統合に関する論点を理解し、それを正しく論理的に説明ができるかを問います。
*定期試験を未受験の場合は「評価不能(-)」となります。

事前・事後学習の内容

・毎回の授業後に各自で講義資料を振り返り、授業内容を復習してください。その際、授業内で説明した用語、概念を正しく理解できているか、各回のテーマにおける論点を正しく理解し、自分自身でもそれを説明することができるかを確認してください。
・ニュースを確認しながら、授業で学んだことをもとに時事問題を理解できるように取り組んでください。

履修上の注意

このコースの各回の授業はそれぞれ関連しており、一つ飛ばすとその先の内容を理解することが難しくなります。授業には毎回必ず出席し、万が一、欠席する必要がある場合は休んだ回の授業内容を必ず次回までに復習するようにしてください。

担当者からの メッセージ

現在、世界中で地域統合の動きが加速しており、我々の仕事や日常の暮らしに大きく影響します。地域統合が推進される力学、その影響について自分自身で理解し、考えることができるよう、授業に取り組んでもらえればと思います。

キーワード

地域統合、自由貿易、保護主義、EU、ASEAN、TPP